障害年金と身体障害者手帳は、名前が似ていることもあって よく混同されます。ですが、この二つは根拠になる法律が違い、判定する人が違い、等級の数も意味も 違う、まったく別の制度です。日本年金機構の障害年金ガイドも、等級表のページに 「*身体障害者手帳の等級とは異なります」とわざわざ書いています。
手帳の2級と障害年金の2級は、別のものです。片方に該当したからといって、もう片方に自動的に 該当するわけではありません。両方に別々に申請します。
このページは2026年8月時点で、厚生労働省の公式ページと通知(身体障害者手帳制度の概要、 身体障害者障害程度等級表、身体障害認定基準、身体障害認定基準等の取扱いに関する疑義について、 交付手続き及び医師の指定に関する取扱いについて)を実際に確認して整理したものです。 制度や金額は改定されますので、お読みになっている時期とこの日付を見比べてください。
この二つはどこが違うのか
| 身体障害者手帳 | 障害年金 | |
|---|---|---|
| 根拠となる法律 | 身体障害者福祉法(第15条) | 国民年金法/厚生年金保険法 |
| 交付・決定する人 | 都道府県知事、指定都市市長、中核市市長 | 日本年金機構 |
| 何が得られるか | 各種サービス・減免を受けるための資格の証明 | 現金給付(年金・一時金) |
| 等級 | 1級〜6級(肢体不自由) | 1級・2級(基礎)/1級〜3級と障害手当金(厚生) |
| 保険料の納付 | 関係ありません | 納付要件があります |
| 初診日 | 関係ありません | すべての出発点になります |
| 診断書を書く人 | 指定医(障害の種別ごとに指定されます) | 主治医(様式は障害の種類ごと) |
| 申請の窓口 | お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口 | 年金事務所/市区町村(国民年金) |
厚生労働省の「身体障害者手帳制度の概要」によれば、交付者数は4,674,999人(令和6年度末現在・ 令和6年度福祉行政報告例)です。
対象になるのはどんな障害か
身体障害者手帳は、身体障害者福祉法別表に掲げる身体上の障害がある方に交付されます。 別表に定める障害の種類は次の9つで、いずれも「一定以上で永続すること」が要件とされています。
| 別表に定める障害の種類 |
|---|
| ① 視覚障害 / ② 聴覚又は平衡機能の障害 / ③ 音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害 |
| ④ 肢体不自由 / ⑤ 心臓、じん臓又は呼吸器の機能の障害 / ⑥ ぼうこう又は直腸の機能の障害 |
| ⑦ 小腸の機能の障害 / ⑧ ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害 / ⑨ 肝臓の機能の障害 |
パーキンソン病で申請する場合、通常は④ 肢体不自由になります。歩行・立ち上がり・姿勢の保持・ 上肢の動作といった、運動症状そのものが対象になるからです。
⚠️ ただし、「パーキンソン病だから何級」という決まりはありません。等級は症状の程度による 個別の判定です。同じ診断名でも、日常の動作にどれだけ支障が出ているかで結果は変わります。
等級 — 肢体不自由は1級から6級
身体障害者福祉法施行規則別表第5号「身体障害者障害程度等級表」で、障害の種類別に重度の側から 1級から6級までの等級が定められています。等級表の備考には、覚えておくと得をする決まりが 書かれています。
1 同一の等級について二つの重複する障害がある場合は, 1級うえの級とする。
2 肢体不自由においては, 7級に該当する障害が2以上重複する場合は, 6級とする。
3 異なる等級について2以上の重複する障害がある場合については, 障害の程度を勘案して 当該等級より上位の等級とすることができる。
身体障害認定基準も、7級についてこう説明しています。
7級はもとより身体障害者手帳交付の対象にならないが、等級表の備考に述べられているように、 肢体不自由で、7級相当の障害が2つ以上ある時は6級になるので参考として記載したものである。
7級ひとつでは手帳は出ませんが、7級が二つあれば6級になります。パーキンソン病のように 複数の部位に少しずつ影響が出る病気では、この重複の扱いが結果を分けることがあります。
体幹機能障害はどう判定されるのか
肢体不自由は「上肢」「下肢」「体幹」「乳幼児期以前の非進行性の脳病変による運動機能障害」に 区分されます。パーキンソン病で関わりが深いのが体幹機能障害頸部、胸部、腹部及び腰部を含む部分の機能障害です。各部の運動だけでなく、体位の保持(座位や立位を保っていられるか)も重要な要素とされています。四肢体幹の麻痺、運動失調、変形等による運動機能障害が対象になります。詳しく見るで、 身体障害認定基準は具体的な線引きを示しています。
| 等級 | 認定基準上の表現 | 具体的な内容 |
|---|---|---|
| 1級 | 座っていることのできないもの | 腰掛け、正座、横座り及びあぐらのいずれもできないもの |
| 2級 | 座位または起立位を保つことの困難なもの | 10分間以上にわたり座位または起立位を保っていることのできないもの |
| 2級 | 起立することの困難なもの | 臥位又は座位より起立することが自力のみでは不可能で、他人又は柱、杖その他の器物の介護により初めて可能となるもの |
| 3級 | 歩行の困難なもの | 100m以上の歩行不能のもの又は片脚による起立位保持が全く不可能なもの |
| 5級 | 著しい障害 | 体幹の機能障害のために2km以上の歩行不能のもの |
体幹不自由の項に4級と6級がないのは、「体幹の機能障害は四肢と異なり、具体的及び客観的に表現し難い」 ためだと注記されています。3級と5級の中間と思われる状態は、4級ではなく5級にとどめるとされています。
⚠️ 「無理をすればできる」は、できることになりません
身体障害認定基準の総括的解説の冒頭に、パーキンソン病の患者さんにとって非常に大事な一文があります。
肢体不自由は機能の障害の程度をもって判定するものであるが、その判定は、 強制されて行われた一時的能力でしてはならない。
例えば、肢体不自由者が無理をすれば1kmの距離は歩行できるが、そのために症状が悪化したり、 又は疲労、疼痛等のために翌日は休業しなければならないようなものは1km歩行可能者とはいえない。
診察室で「歩けますか」と聞かれて、その場でがんばって歩けてしまうことがあります。 しかし基準は、そのあと何が起きるかまで含めて見ろと言っています。「歩けるけれど、 そのあと半日動けなくなる」なら、それは「歩ける」ではありません。診察では、 できたかどうかではなく、そのあとどうなるかまで伝えてください。
なお、判定は義肢、装具等の補装具を装着しない状態で行うことも明記されています。杖や歩行器を 使っている方は、それを使わない状態でどうなるかが基準です。
⚠️ 服薬した状態で判定します — 厚生労働省がパーキンソン病を名指しで書いた文書
ここがこのページでいちばん重要な部分です。
厚生労働省の通知「身体障害認定基準等の取扱いに関する疑義について」(障企発第0227001号)は、 質疑応答の形で認定の取り扱いを示したものですが、その中に「パーキンソン病に係る認定で」という 項目があります。全文を引用します。
まず、質疑(自治体から国への問い)のほうです。
6.パーキンソン病に係る認定で、
ア.疼痛がなく、四肢体幹の器質的な異常の証明が困難な場合で、他覚的に平衡機能障害を認める場合は、 肢体不自由ではなく平衡機能障害として認定するべきか。
イ.本症例では、一般的に服薬によってコントロール可能であるが、長期間の服薬によって次第に コントロールが利かず、1日のうちでも状態が著しく変化するような場合は、どのように取り扱うのか。
これに対する厚生労働省の回答です。
ア.ROM、MMTに器質的異常がない場合は、「動作・活動」等を参考に、他の医学的、客観的所見から、 四肢・体幹の機能障害の認定基準に合致することが証明できる場合は、平衡機能障害ではなく 肢体不自由として認定できる場合もあり得る。
イ.本症例のように服薬によって状態が変化する障害の場合は、原則として服薬によってコントロール されている状態をもって判定するが、1日の大半においてコントロール不能の状態が永続する場合は、 認定の対象となり得る。
読み解くと、こうなります。
| 質問 | 厚生労働省の回答が意味すること |
|---|---|
| 関節可動域(ROM)や徒手筋力テスト(MMT)に異常が出ないとき | それだけで対象外にはなりません。「動作・活動」など他の客観的所見から基準に合致することが示せれば、肢体不自由として認定できる場合があります |
| 薬が効いている時間と切れている時間で状態が違うとき | 原則は「薬でコントロールされている状態」(オン)で判定されます。ただし1日の大半がコントロール不能で、それが永続するなら、認定の対象になり得ます |
なお、この通知は身体障害者手帳の制度についてのものです。障害年金の障害認定基準には、 服薬状態での評価について同様の記載を確認できませんでした。二つの制度で同じ扱いだと思い込まないで ください(障害年金の記事にその点を書いています)。
申請 — 「指定医」でなければ診断書を書けません

ここでつまずく方がとても多いので、先に結論を書きます。手帳の診断書・意見書は、 どの医師でも書けるわけではありません。
身体障害者福祉法第15条第1項にもとづき、都道府県知事等が指定した医師だけが作成できます。 しかも厚生労働省の通知は、指定を障害の種別ごとに行うと定めています。
(1) 法第15条第1項の規定により都道府県知事が定める医師は、障害の種別ごとに指定するものとする。 また、指定を受けた医師は、指定を受けた障害の種別について診断書・意見書を作成するものとする。
つまり「指定医であること」だけでなく「肢体不自由について指定を受けていること」が必要です。 そして通知は、指定医についてこう定めています。
(4) 法第15条第1項の規定により指定を受けた医師は、その旨を見やすい方法により掲示しなければならない。
肢体不自由の指定医になれるのは、次の診療科名を標榜する病院・診療所で診療に従事し、 その診断に相当の学識経験を有する医師とされています。
(6) 肢体不自由の医療に関係のある診療科名 整形外科、外科、小児外科、内科、神経内科、脳神経外科、形成外科、リウマチ科、小児科、 リハビリテーション科
神経内科(脳神経内科)が含まれています。ですから、通院中の先生が指定医であることは十分に ありえます。ただし自動ではありません。指定を受けているかどうかは、市区町村の障害福祉担当窓口で 指定医の一覧を確認するか、医療機関に直接聞いてください。ここを確認せずに診断書を頼んで、 書いてもらってから「この先生は指定医ではない」と言われるのが、いちばん多い無駄足です。
用意するもの
必要書類の細部と手数料の扱いは自治体によって案内が異なります。行く前に電話で確認してください。 また、居住地が変わったときは「身体障害者居住地等変更届書」、手帳を紛失・破損したときは 「身体障害者手帳再交付申請書」という様式が定められています。
再認定 — 進行したら等級は変わります
パーキンソン病は進行する病気です。手帳は一度取ったら終わりではありません。
厚生労働省の身体障害認定要領は、診断書の「総合所見」について次のように定めています。
成長期の障害、進行性病変に基づく障害、手術等により障害程度に変化が予測される場合は、 将来再認定の時期等を記載する。
そして「疑義について」の質疑応答は、医師が将来再認定の時期を書くのはどんな場合かという問いに、 次の3つを挙げています。
| 将来再認定を想定する場合 |
|---|
| ア.発育により障害程度に変化が生じることが予想される場合 |
| イ.進行性の病変による障害である場合 |
| ウ.将来的な手術により、障害程度が変化することが予想される場合 |
パーキンソン病はイに当たります。診断書に将来再認定の時期が書かれることが多く、 その時期が来たら改めて診断を受けて等級が見直されます。
手帳があると何ができるのか
手帳そのものは現金給付ではありません。いろいろな制度の「入口の証明」として働きます。 主なものを、確認できた範囲で整理します。
自立支援医療(更生医療)
心身の障害を除去・軽減するための医療について、自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。 更生医療の対象は厚生労働省の説明でこう定められています。
更生医療:身体障害者福祉法に基づき身体障害者手帳の交付を受けた者で、その障害を除去・軽減する 手術等の治療により確実に効果が期待できる者(18歳以上)
手帳がないと使えない制度の代表例です。ただし「その障害を除去・軽減する手術等の治療により 確実に効果が期待できる」ことが要件で、対象となる治療は個別に判断されます。 ご自分の治療が対象になるかは、市区町村の窓口と主治医にご確認ください。
補装具費支給制度
身体の欠損又は損なわれた身体機能を補完・代替する用具の購入等について、費用が支給されます。 根拠は障害者総合支援法第76条第1項、実施主体は市町村です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 補装具を必要とする障害者、障害児、難病患者等(難病患者等は政令に定める疾病に限る) |
| 利用者負担 | 原則定率1割。世帯の所得に応じて負担上限月額を設定 |
| 負担上限月額 | 生活保護世帯 0円/市町村民税非課税世帯 0円/市町村民税課税世帯 37,200円 |
| 支給対象外 | 障害者又はその配偶者のうち市町村民税所得割の最多納税者の納税額が46万円以上の場合 |
| 申請 | 市町村長に申請し、身体障害者更生相談所等の判定又は意見にもとづく市町村長の決定により支給 |
種目には、車椅子、電動車椅子、歩行器、歩行補助つえ(T字状・棒状のものを除く)、装具、 姿勢保持装置、重度障害者用意思伝達装置などが含まれます。
対象者に「難病患者等」が入っていることに注目してください。パーキンソン病は指定難病6です。 つまり手帳がなくても補装具費の対象になる場合があります。手帳を待たずに窓口で相談する価値が あります。→ 補装具費支給制度をくわしく
日常生活用具給付等事業
市町村が行う地域生活支援事業の必須事業のひとつで、日常生活がより円滑に行われるための用具を 給付または貸与します(障害者総合支援法第77条第1項第6号)。
| 種目 |
|---|
| (1) 介護・訓練支援用具(特殊寝台、特殊マット等)/(2) 自立生活支援用具(入浴補助用具等)/(3) 在宅療養等支援用具(電気式たん吸引器等) |
| (4) 情報・意思疎通支援用具/(5) 排泄管理支援用具/(6) 居宅生活動作補助用具(住宅改修費) |
こちらも対象者は「障害者、障害児、難病患者等」です。利用者負担は市町村の判断によると されているため、自治体によって扱いが違います。お住まいの市町村の窓口で確認してください。
障害福祉サービス
障害者総合支援法にもとづくサービスで、居宅介護(ホームヘルプ)、重度訪問介護、生活介護、 短期入所などがあります。利用には障害支援区分障害の多様な特性や心身の状態に応じて必要とされる標準的な支援の度合いを、区分1から区分6までの6段階で表したものです。介護給付を利用する場合に市町村が認定します。介護保険の要介護度とは別のしくみです。詳しく見るの 認定が必要なものがあり、サービスごとに対象者の要件が定められています。
税の控除
所得税の障害者控除は、身体障害者手帳に身体上の障害がある人として記載されている方が対象です。
| 区分 | 控除額 |
|---|---|
| 障害者 | 27万円 |
| 特別障害者(手帳の1級または2級) | 40万円 |
| 同居特別障害者 | 75万円 |
住民税や自動車税などにも軽減のしくみがありますが、内容は自治体・税目によって異なります。
そのほか
鉄道・バス・タクシー・航空・有料道路などの運賃割引、放送受信料の減免、公共施設の入場料減免などが 手帳で受けられることがあります。ただしこれらは事業者や自治体がそれぞれ定めているもので、 対象となる等級や割引率、同伴者の扱いは一律ではありません。手帳を受け取ったときに窓口でもらえる 案内か、各事業者のホームページでご確認ください。
このうち有料道路(高速道路)の障害者割引は、本人運転か家族の介護運転かで対象条件が 変わるという実務上の注意点があるため、別記事にまとめています。 → 有料道路の障害者割引をくわしく
鉄道(JR)・バス・タクシーの割引も、それぞれ別の仕組みで動いているため別記事にまとめて います。→ 鉄道・バス・タクシーの障害者割引をくわしく
運賃割引とは別に、車を運転・利用する方向けに駐車禁止除外指定車標章という制度もあります。 運輸・自治体ではなく警察(公安委員会)が扱う制度で、除外される駐車禁止の範囲が限定的である という注意点があるため、こちらも別記事にまとめています。 → 駐車禁止除外指定車標章をくわしく
車を使う方には自動車税の減免もあります。新規登録した車は登録から1か月以内という 短い申請期限がある点に注意が必要なため、こちらも別記事にまとめています。 → 自動車税の減免をくわしく
NHK受信料の減免もあります。全額免除と半額免除で条件がまったく異なり、半額免除は 契約者本人が世帯主でなければ使えないという注意点があるため、こちらも別記事にまとめています。 → NHK受信料の減免をくわしく
医療費については心身障害者医療費助成(マル障、東京都の制度)もあります。65歳以上に なって初めて手帳を取得した場合は対象外という注意点があるため、こちらも別記事にまとめています。 → 心身障害者医療費助成(マル障)をくわしく
財産管理や契約の手続きが心配になったときのために成年後見制度もあります。判断能力が あるうちにしか契約できない「任意後見」という選択肢があるため、こちらも別記事にまとめています。 → 成年後見制度をくわしく
保護者が生きているうちに、将来の生活費を備える障害者扶養共済制度(しょうがい共済)も あります。保護者が65歳を超えると新規に加入できなくなる年齢の壁があるため、こちらも別記事に まとめています。 → 障害者扶養共済制度(しょうがい共済)をくわしく
まとまった費用が必要なときは生活福祉資金貸付制度(福祉費)もあります。障害者世帯は 所得の要件がありませんが、申込には民生委員の面接が必要という注意点があるため、こちらも別記事に まとめています。 → 生活福祉資金貸付制度(福祉費)をくわしく
投票所に行くことが難しい方には郵便等投票制度もあります。対象になっても代理記載制度 までは使えないことがあるという注意点があるため、こちらも別記事にまとめています。 → 郵便等投票制度をくわしく
障害者雇用について
手帳は障害者雇用率制度の対象になるかどうかにも関わりますが、手帳がなくてもハローワーク等の 支援は受けられます。この点は 治療と仕事の両立支援の記事の 「手帳がなくても、あきらめないでください」にまとめていますので、そちらをご覧ください。
難病医療費助成・介護保険との重なりと分かれ目
パーキンソン病では、手帳のほかに難病医療費助成制度と 介護保険が並行して動きます。役割はこう分かれています。
| 何が対象か | 判定の物差し | 窓口 | |
|---|---|---|---|
| 身体障害者手帳 | 福祉サービス・減免の資格 | 身体機能の障害の程度(永続性が要件) | 市区町村の障害福祉窓口 |
| 難病医療費助成制度 | 医療費 | 診断基準と重症度分類(ヤール3度以上かつ生活機能障害度日常生活と通院にどれくらい介助が必要かで3段階に分ける尺度です。ホーン・ヤール重症度分類とは別の尺度で、この二つを合わせて判定します。詳しく見る2度以上、または軽症高額該当重症度分類には届かないけれど高額な医療を続ける必要がある方のための入口です。医療費総額(10割)が33,330円を超える月が、申請月以前の12か月以内に3回以上あれば対象になります。詳しく見る) | 都道府県・指定都市(保健所等) |
| 介護保険 | 介護サービスの利用料 | 介護の手間(要介護認定) | 市区町村の介護保険窓口 |
⚠️ 介護保険が優先されるという原則があります
障害福祉サービスと介護保険サービスが重なる部分については、法律に調整の規定があります。 厚生労働省の通知はこう説明しています。
自立支援給付については、法第7条の他の法令による給付又は事業との調整規定に基づき、 介護保険法の規定による保険給付又は地域支援事業が優先されることとなる。
介護保険の被保険者になるのは65歳以上の方(第1号被保険者)と、40歳から64歳で医療保険に加入して いる方(第2号被保険者)です。パーキンソン病は介護保険の特定疾病介護保険法施行令第2条に列記されている16の病気です。40歳から64歳の方でも、要介護状態の原因がこの中のどれかであれば要介護認定を申請できます。詳しく見るなので、40歳以上の方は 第2号被保険者として要介護認定を申請できます(詳しくは介護保険の記事)。 つまり、40歳以上で介護保険が使える状態になれば、重なるサービスは介護保険が先になる、 というのが原則です。
ただし「一律に」ではありません
ここが大事なところです。同じ通知が、続けてこう書いています。
障害者が同様のサービスを希望する場合でも、その心身の状況やサービス利用を必要とする理由は多様であり、 介護保険サービスを一律に優先させ、これにより必要な支援を受けることができるか否かを一概に判断する ことは困難であることから、障害福祉サービスの種類や利用者の状況に応じて当該サービスに相当する 介護保険サービスを特定し、一律に当該介護保険サービスを優先的に利用するものとはしないこととする。
そして、介護保険で足りない場合には障害福祉サービスを使えることも明記されています。
| 障害福祉サービスを併せて使える場合 |
|---|
| ア.区分支給限度基準額居宅サービスについて、要介護度ごとに定められた1か月あたりの利用限度額です。限度額を超えて使った分は全額が自己負担になります。詳しく見るの制約から、必要な支給量を介護保険サービスのみでは確保できないと認められる場合 |
| イ.利用できる事業所・施設が身近にない、空きがないなど、実際に利用が困難と市町村が認める場合 |
| ウ.要介護認定等で非該当と判定されたなど、介護保険サービスを利用できない場合で、なお必要と市町村が認める場合 |
さらに、介護保険サービスに相当するものがない障害福祉サービス固有のもの(同行援護、行動援護、 自立訓練(生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援等)については、介護保険とは関係なく 障害福祉サービスとして支給されます。
厚生労働省は平成27年2月の事務連絡でも、市町村に対して次のように求めています。
当該基準によって一律に判断するのではなく、介護保険サービスの支給量・内容では十分な サービスが受けられない場合には、介護給付費等を支給するなど、適切な運用に努められたい。
補装具と介護保険の福祉用具は品目が重なります
介護保険で貸与される福祉用具には、補装具と同じ品目(車いす、歩行器、歩行補助つえ)が 含まれています。これらは原則として介護保険が優先されますが、通知には例外が書かれています。
ただし、車いす等保険給付として貸与されるこれらの品目は標準的な既製品の中から選択することに なるため、医師や身体障害者更生相談所等により障害者の身体状況に個別に対応することが必要と 判断される障害者については、これらの品目については、法に基づく補装具費として支給して差し支えない。
既製品では合わない事情があるなら、補装具として支給される道があるということです。 体幹の傾きや姿勢の保持に個別の調整が要る方は、この一文が根拠になります。 主治医、身体障害者更生相談所都道府県・指定都市に置かれている専門機関です。更生医療では、給付を決める前にここの判定を受けるのが原則とされています。詳しく見る、市区町村の障害福祉担当窓口に相談してください。
こんなときは
| 状況 | どうするか |
|---|---|
| 障害年金が2級だったので手帳も2級だと思っています | 別の制度で、等級の意味も違います。手帳は改めて申請が必要です |
| かかりつけの先生に診断書を頼んでよいですか | 肢体不自由について指定を受けた医師でなければ書けません。市区町村の窓口で指定医の一覧を確認してください |
| 主治医が指定医ではありませんでした | 指定医のいる医療機関を紹介してもらってください。指定医は「その旨を見やすい方法により掲示」することとされています |
| 診察のときは歩けてしまいます | 認定基準は「強制されて行われた一時的能力でしてはならない」としています。歩いたあとどうなるか(翌日動けない、疲労で休む)まで伝えてください |
| 杖を使えば歩けます | 判定は補装具を装着しない状態で行うこととされています。杖なしでどうかを伝えてください |
| 薬が効いているときに診察があります | 原則は服薬でコントロールされている状態で判定されます。だからこそ「1日の大半がコントロール不能」であることを示す記録が要ります。オン・オフの時刻を1〜2週間記録して持参してください |
| 7級と言われました | 7級ひとつでは手帳は交付されませんが、7級相当が2つ以上あると6級になります。他の部位についても評価されているか確認してください |
| 進行して以前より動けなくなりました | 等級変更の申請ができます。再認定の時期を待つ必要はありません |
| 手帳がないと福祉用具の支援は受けられませんか | 補装具費支給制度と日常生活用具給付等事業は対象者に「難病患者等」が含まれます。パーキンソン病は指定難病6なので、手帳がなくても相談してください |
| 65歳になったら障害福祉サービスを打ち切ると言われました | 介護保険優先の原則はありますが、国の通知は「一律に優先的に利用するものとはしない」としています。窓口でもう一度相談してください |
| 車いすが体に合いません | 既製品では個別に対応できないと医師等が判断すれば、補装具費として支給できるとされています |
| 引っ越しました/手帳をなくしました | 居住地等変更届書、手帳再交付申請書という様式があります。市区町村の窓口へ |
患者さんとご家族へ
手帳の申請でいちばんよく起きる無駄足は、指定医でない先生に診断書を頼んでしまうことです。 これは電話一本で防げます。申請しようと思ったら、診断書を頼む前に市区町村の窓口に電話して、 「肢体不自由の指定医の一覧をください」と言ってください。
そして、パーキンソン病に固有の難しさは波です。厚生労働省の通知は「原則として服薬によって コントロールされている状態をもって判定する」と書いています。これは、調子のよい時間の姿が 基準になるということです。それでも「1日の大半においてコントロール不能の状態が永続する場合は、 認定の対象となり得る」と続きます。この一文にたどりつけるかどうかは、1日のうちどれだけの時間が オフなのかを示せるかにかかっています。
だから、記録です。何時に薬を飲んで、何時から効きはじめ、何時に切れたか。切れているあいだ何が できなかったか。1〜2週間分あれば、診断書を書く先生に渡せる材料になります。ご家族が見ている場面は、 ご本人が言い落としがちな部分を埋めてくれます。
手帳は「障害者になること」ではありません。使える制度の入口を開ける紙です。更生医療も、 補装具も、税の控除も、ここから始まります。迷っているなら、まず市区町村の障害福祉担当窓口に 相談してみてください。
このページは行政の決定や医学的な判断に代わるものではありません。記載した基準・等級・金額は 2026年8月時点で厚生労働省および国税庁の公式資料で確認したものです。制度は改定されますので、 ご自分の申請については、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口と主治医にご確認ください。


