日本の制度で、パーキンソン病の患者さんがもっとも取りこぼしやすいのが障害年金です。 理由ははっきりしていて、「障害者手帳を持っていないから自分には関係ない」と思っている方が とても多いからです。障害年金と身体障害者手帳は 根拠になる法律も、判定する人も、等級の意味も違う別々の制度です。日本年金機構の 「障害年金ガイド」も、等級表のページにわざわざこう注記しています。

*身体障害者手帳の等級とは異なります。

手帳がなくても障害年金は請求できますし、手帳を持っていても障害年金が自動でつくわけでもありません。 まずここを切り離してください。

このページは2026年8月時点で、日本年金機構と厚生労働省の公式資料(障害年金ガイド令和8年度版、 国民年金・厚生年金保険 障害認定基準の各PDF、受給要件の各ページ)を実際に確認して整理したものです。 金額は毎年度改定されますので、お読みになっている時期とこの日付を見比べてください。

いちばん誤解されるところ — 「初診日」でどの年金かが決まります

障害年金には障害基礎年金と障害厚生年金の2種類があります。どちらになるかを決めるのは、 いまの職業でも、病気の重さでも、収入でもありません。初診日にどの年金に加入していたかだけです。

初診日障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日のことです。同じ病気やけがで転院があった場合は、いちばん初めに診療を受けた日が初診日になります。詳しく見るについて、 日本年金機構はこう定義しています。

障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師等の診療を受けた日をいいます。 同一の病気やけがで転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日が初診日となります。

この一日で、受け取れる年金の種類も、等級の幅も、窓口も変わります。

障害基礎年金障害厚生年金
初診日にどこに加入していたか国民年金の加入期間/20歳前で年金制度に加入していない期間/日本国内に住む60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間厚生年金保険の被保険者である間
等級1級・2級1級・2級・3級
一時金障害手当金あり
上乗せ子の加算1級・2級には配偶者の加給年金額。1級・2級は障害基礎年金もあわせて受け取れます
請求書の提出先お住まいの市(区)役所または町村役場(20歳前に初診日がある方は年金事務所等)お近くの年金事務所・街角の年金相談センター
3級と障害手当金があるのは厚生年金保険だけです。会社にお勤めの間に受診を始めた方と、退職して国民年金になってから受診を始めた方とでは、同じ症状でも受け取れる範囲が変わります。「あのとき病院に行っておけばよかった」と後から言われることが本当に多いのは、この一点のためです。パーキンソン病を疑って最初に受診した日がいつだったかは、思い出せるうちに書き留めておいてください。

なお、初診日は診断がついた日ではありません。「手が震える」「歩きにくい」で内科や整形外科を 受診し、そこからパーキンソン病にたどりついた場合、初診日はその最初の受診日になります。 確定診断より何年も前ということが、パーキンソン病では珍しくありません。

受給要件は3つ。ひとつでも欠けると受け取れません

障害年金ガイドは、受給できるのは次の3つの条件すべてに該当する方だとしています。

1. 初診日要件

障害基礎年金は、初診日が「国民年金加入期間」「20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で 年金制度に加入していない期間」のいずれかにあること。障害厚生年金は「厚生年金保険の被保険者である間に 初診日があること」です。

初診日を証明する書類が用意できないときのために、日本年金機構は次のように案内しています。

初診時の医療機関の証明が得られない場合でも、初診日を合理的に推定できるような一定の書類により、 ご本人の申し立てた日が初診日と認められる場合があります。

最初にかかった医院が廃業していても、そこで終わりではありません。「初診日に関する第三者からの 申立書」という様式も用意されています。年金事務所に相談してください。

2. 保険料納付要件 — 見るのは「初診日の前日」です

ここがいちばん間違えられるところです。判定に使われるのは初診日の前日の状態で、 初診日より後に慌てて納めても間に合いません。

初診日の前日において、初診日がある月の2カ月前までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間 (厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む。)と保険料免除期間をあわせた期間が 3分の2以上あることが必要です。

内容
いつの時点で見るか初診日の前日
どこまでの期間か初診日がある月の2か月前(前々月)まで
何が必要か保険料納付済期間+保険料免除期間が3分の2以上

保険料免除期間所得が少ないなどの理由で国民年金保険料の全額免除・一部免除・納付猶予などを承認された期間です。障害年金の納付要件では、この免除期間は「未納」ではなく納付要件を満たす側に数えられます。詳しく見るが 納付側に数えられる、というのが大事なところです。「払えなかった時期がある」ことと「未納がある」ことは 違います。免除や猶予の手続きをしてあったなら、それは要件を満たす方向にはたらきます。

そして、多くの方が救われるのが特例です。

初診日が令和18年3月末日までにあるときは、次のすべての条件に該当すれば、納付要件を満たすものと されています。

・初診日において65歳未満であること ・初診日の前日において、初診日がある月の2カ月前までの直近1年間に保険料の未納期間がないこと

つまり直近1年間に未納がなければよいということです。若いころに未納の時期があった方でも、 ここ1年きちんとしていれば要件を満たします。なお、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日が ある場合は、納付要件そのものが不要です。

納付記録はご自分では正確に把握できないことがほとんどです。ねんきんネット(マイナポータル経由でも利用できます)で確認するか、年金事務所で記録を出してもらってください。「たぶんだめだろう」と思って請求しなかった方が、調べたら要件を満たしていたということが起こります。判断の前に、まず記録を見てください。

3. 障害認定日要件

障害認定日障害の状態を定める日のことです。障害の原因となった病気やけがについての初診日から1年6か月を過ぎた日をいいます。1年6か月以内に病気やけがが治った場合(症状が固定し、治療の効果が期待できない場合を含む)は、その日が障害認定日になります。詳しく見るに、 障害等級表に定める状態に該当していること。日本年金機構の定義はこうです。

障害の状態を定める日のことで、その障害の原因となった病気やけがについての初診日から1年6カ月を 過ぎた日をいいます。また、1年6カ月以内に病気やけがが治った場合(症状が固定し、治療の効果が 期待できない場合を含む)は、その日が障害認定日となります。

パーキンソン病の場合、初診日から1年6か月の時点ではまだ日常生活に大きな支障が出ていないことが 多くあります。そこで効いてくるのが、次に説明する事後重症です。

事後重症 — ゆっくり進む病気のための入り口です

障害認定日に該当しなかったら終わり、ではありません。

障害認定日に法令に定める障害の状態に該当しなかった方でも、その後病状が悪化し、法令に定める 障害の状態になったときには請求日の翌月分から年金を受け取ることができます。このことを 「事後重症による請求」といいます。

事後重症障害認定日には障害等級に該当しなかった方が、その後症状が重くなって該当する状態になったときに行う請求です。年金は請求日の翌月分から支給され、さかのぼりはありません。請求書は65歳の誕生日の前々日までに提出する必要があります。詳しく見るは、 パーキンソン病のように何年もかけて進行する病気にとって決定的に重要な仕組みです。 発症からしばらくは薬でよく動けていた方が、5年後・10年後に該当することは十分にあります。

ただし、押さえておくべき条件が二つあります。

項目内容
いつから受け取れるか請求日の翌月分から。障害認定日にさかのぼって支給されることはありません
いつまでに請求するか65歳の誕生日の前々日までに請求書を提出する必要があります

日本年金機構自身がこう注意しています。

*請求日が令和7年11月中となった場合は、令和7年12月分からの受け取りになり、請求日が遅くなると 受け取りの開始時期が遅くなります。障害年金を受け取ることができる状態になった場合は、速やかに ご請求ください。

事後重症は1か月遅れれば1か月分そのまま失われます。難病医療費助成のような「やむを得ない理由なら遡れる」しくみはありません。そして65歳の誕生日の前々日という期限があります。64歳になったら、該当しそうかどうかを一度年金事務所で確認しておいてください。

障害認定日にさかのぼって請求することもできます

逆に、障害認定日の時点ですでに該当していたのに請求していなかった、という場合もあります。 日本年金機構のQ&Aはこう答えています。

障害認定日から1年以上経過している場合であっても、障害認定日時点の障害の状態がわかる診断書と 現在の障害の状態(請求日前3カ月以内の症状)がわかる診断書をご用意いただくことにより、 障害年金を請求することができます。 ただし、5年以上前の年金については、時効により受け取ることができません。

診断書が2枚必要になります。そして遡れるのは5年までです。当時のカルテが残っているうちに 動く必要がある、ということでもあります。

パーキンソン病はどう評価されるのか

ここは正直に書きます。国民年金・厚生年金保険 障害認定基準に「パーキンソン病」という病名は 出てきません。今回、日本年金機構が公開している障害認定基準のPDF(全体版を含む全29ファイル)を ダウンロードして本文を検索しましたが、「パーキンソン」という語はどこにも記載がありませんでした。

つまり「パーキンソン病だから何級」という決まりは、公表された基準の中に存在しません。 判定されるのは病名ではなく、身体の機能の障害の程度です。

たどるのは「神経系統の障害」から「肢体の障害」へ

障害認定基準の第9節 神経系統の障害は、認定要領の冒頭でこう指示しています。

(1) 肢体の障害の認定は、本章「第7節 肢体の障害」に示した認定要領に基づいて認定を行う。

そして第7節のうち、上肢・下肢の広い範囲に障害がおよぶ場合に使われるのが「第4 肢体の機能の障害」です。

(1) 肢体の障害が上肢及び下肢などの広範囲にわたる障害(脳血管障害、脊髄損傷等の脊髄の器質障害、 進行性筋ジストロフィー等)の場合には、本節「第1 上肢の障害」、「第2 下肢の障害」及び 「第3 体幹・脊柱の機能の障害」に示したそれぞれの認定基準と認定要領によらず、 「第4 肢体の機能の障害」として認定する。

ここに例示されている病名にもパーキンソン病はありません(「等」に含まれるかどうかは個別の判断です)。 ただし、実際にどの様式の診断書を使うかは主治医と年金事務所が決めることで、 日本年金機構が用意している診断書8種類のうち「肢体の障害用」があります。 ご自分の場合にどれを使うかは、必ず年金事務所で確認してください。

見られているのは「日常生活における動作」です

肢体の機能の障害の認定要領は、判定のしかたをこう定めています。

(2) 肢体の機能の障害の程度は、関節可動域、筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、 日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定する。

そして、その「日常生活における動作」として次の18項目が挙げられています。診察で聞かれるのは、 だいたいこの並びです。

部位動作
手指の機能つまむ(新聞紙が引き抜けない程度)/握る(丸めた週刊誌が引き抜けない程度)/タオルを絞る(水をきれる程度)/ひもを結ぶ
上肢の機能さじで食事をする/顔を洗う(顔に手のひらをつける)/用便の処置をする(ズボンの前のところに手をやる)/用便の処置をする(尻のところに手をやる)/上衣の着脱(かぶりシャツを着て脱ぐ)/上衣の着脱(ワイシャツを着てボタンをとめる)
下肢の機能片足で立つ/歩く(屋内)/歩く(屋外)/立ち上がる/階段を上る/階段を下りる

そのうえで、程度との関係がこう整理されています。

認定基準上の表現日常生活における動作との関係
「用を全く廃したもの」日常生活における動作のすべてが「一人で全くできない場合」又はこれに近い状態
「機能に相当程度の障害を残すもの」動作の多くが「一人で全くできない場合」又はほとんどが「一人でできるが非常に不自由な場合」
「機能障害を残すもの」動作の一部が「一人で全くできない場合」又はほとんどが「一人でできてもやや不自由な場合」

「一人でできる/一人でできるがやや不自由/一人でできるが非常に不自由/一人で全くできない」 という段階で見られている、ということです。診断書にもこの区分で記入する欄があります。 ご自分の状態をこの言葉に置き換えて主治医に伝えると、書類の言葉とずれません。

⚠️ 薬が効いている時間で見るのかについて

パーキンソン病の患者さんにとって、これはいちばん切実な疑問です。薬が効いている時間(オン)で 評価されるのか、切れている時間(オフ)で評価されるのか。

障害年金の障害認定基準には、この点に関する記載を確認できませんでした。今回確認した範囲では、 服薬によって症状が変動する場合の取り扱いを定めた条文は、障害認定基準の中に見当たりませんでした。 ここは推測で書けないところなので、断定しません。

一方で、身体障害者手帳のほうには厚生労働省がパーキンソン病を名指しで扱った文書があり、 「原則として服薬によってコントロールされている状態をもって判定する」「ただし1日の大半において コントロール不能の状態が永続する場合は認定の対象となり得る」という記載があります。 これは手帳の制度についての通知であって、障害年金の基準ではありません。混同しないでください。 手帳のほうの記載は身体障害者手帳の記事にまとめています。

断定できないからこそ、記録が武器になります。「朝の薬が効くまでの2時間は寝返りも打てない」「夕方は玄関で足がすくんで一人で外に出られない」——時刻と場面を書き留めた記録は、診断書を書く主治医にとっても、書類を読む側にとっても、いちばん具体的な材料です。オン・オフの波は、伝えなければ書類に残りません。

もうひとつ、1年6か月を待たなくてよい例外

第9節には、初診日から1年6か月を待たずに障害認定日として扱う場合が定められています。

(4) 神経系の障害により次のいずれかの状態を呈している場合は、原則として初診日から起算して 1年6月を経過した日以前であっても障害認定日として取り扱う。

ア 脳血管障害により機能障害を残しているときは、初診日から6月経過した日以後に、医学的観点から、 それ以上の機能回復がほとんど望めないと認められるとき。

イ 現在の医学では、根本的治療方法がない疾病であり、今後の回復は期待できず、初診日から6月経過 した日以後において気管切開下での人工呼吸器(レスピレーター)使用、胃ろう等の恒久的な措置が 行われており、日常の用を弁ずることができない状態であると認められるとき。

アは脳血管障害の話です。イは人工呼吸器や胃ろうといった恒久的な措置が要件になっています。 一般的な経過のパーキンソン病でここに当てはまる方は多くありませんが、該当する状態の方は 1年6か月を待たなくてよいということは知っておく価値があります。

等級と金額(令和8年4月分から)

障害の程度は法令で1級から3級まで定められています。障害年金ガイドの説明はこうです。

等級どういう状態か
1級他人の介助を受けなければ日常生活のことがほとんどできないほどの障害の状態。身のまわりのことはかろうじてできるものの、それ以上の活動はできない方、入院や在宅介護を必要とし、活動の範囲がベッドの周辺に限られるような方
2級必ずしも他人の助けを借りる必要はなくても、日常生活は極めて困難で、労働によって収入を得ることができないほどの障害。家庭内で軽食をつくるなどの軽い活動はできても、それ以上重い活動はできない方、活動の範囲が病院内・家屋内に限られるような方
3級(厚生年金のみ)労働が著しい制限を受ける、または、労働に著しい制限を加えることを必要とするような状態。日常生活にはほとんど支障はないが、労働については制限がある方

3級の説明が「日常生活にはほとんど支障はないが、労働については制限がある」となっているところに 注目してください。働き続けている方でも、厚生年金加入中の初診日であれば3級の可能性があります。

令和8年度の年金額

種類年額
障害基礎年金 1級1,059,125円(昭和31年4月1日以前に生まれた方は1,056,125円)
障害基礎年金 2級847,300円(昭和31年4月1日以前に生まれた方は844,900円)
障害厚生年金 1級報酬比例の年金額×1.25+配偶者の加給年金額
障害厚生年金 2級報酬比例の年金額+配偶者の加給年金額
障害厚生年金 3級報酬比例の年金額(最低保障額635,500円。昭和31年4月1日以前に生まれた方は633,700円)
障害手当金(一時金)報酬比例の年金額×2(最低保障額1,271,000円。昭和31年4月1日以前に生まれた方は1,267,400円)

障害厚生年金の1級・2級に該当する場合は、障害基礎年金もあわせて受け取れます。 上乗せの加算は次のとおりです。

対象者名称金額どちらに加算されるか
配偶者(65歳未満)加給年金額243,800円障害厚生年金(1級・2級)
子2人まで加算額1人につき243,800円障害基礎年金(1級・2級)
子3人目から加算額1人につき81,300円障害基礎年金(1級・2級)

対象になる子は「18歳になった後の最初の3月31日までの子」または「20歳未満で障害等級1級・2級の 状態にある子」です。

報酬比例の年金額は、平成15年3月以前と4月以降で計算式が分かれ、加入期間の合計が300月(25年)未満の 場合は300月とみなして計算されます。若くして発症した方の額が極端に低くならないようにする しくみです。ご自分の見込み額は年金事務所で試算してもらえます。

20歳前に初診日がある方の所得制限

20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある障害基礎年金には、保険料を納めていないことから 所得による支給制限があります。

前年所得額支給
4,794,000円を超える全額支給停止
3,761,000円を超える2分の1が支給停止

これは令和8年4月時点で扶養親族等がいない場合の額です。支給対象期間は「10月分から翌年9月分まで」で、 海外に居住した場合なども全額支給停止になります。20歳前傷病若年発症パーキンソン病(YOPD)は40歳未満で発症するタイプですが、20歳前に初診日があるかどうかは個別の事情によります。20歳前に初診日がある場合は保険料納付要件が不要になる一方、所得による支給制限がかかります。詳しく見るに当たる方は、 この二点をあわせて確認してください。

請求の流れ

木々のあいだをくねくねと続く細い小道
1
まず初診日を確認して、年金事務所か市区町村に相談する
「いつ、どこで、何科にかかったのが最初か」を思い出せる範囲で書き出してから相談してください。事前に保険料の納付要件と必要な書類を確認します。障害基礎年金で国民年金加入中に初診日がある方はお住まいの市(区)役所または町村役場、障害厚生年金・障害手当金や20歳前に初診日がある方はお近くの年金事務所・街角の年金相談センターが窓口です。
2
受診状況等証明書で初診日を証明する
初診の医療機関に「受診状況等証明書」を書いてもらいます。初診の病院と診断書を書く病院が同じ場合は不要になることがあります。廃院などで証明が取れないときは、「初診日に関する第三者からの申立書」など別の方法があるので、あきらめずに窓口に相談してください。
3
主治医に診断書を書いてもらう
診断書は障害の種類ごとに様式が分かれています(眼/聴覚等/肢体/精神/呼吸器/循環器/腎・肝・糖尿病/血液・造血器その他の8種類)。どの様式かは年金事務所で確認してください。障害認定日にさかのぼって請求する場合は、障害認定日ごろの状態の診断書と、請求日前3か月以内の状態の診断書の2枚が必要です。
4
病歴・就労状況等申立書を自分で書く
発病から現在までの経過と、就労・日常生活の状況をご自分(またはご家族)が書く書類です。診断書と並ぶもう一方の柱で、ここだけは他人には書けません。次の節でくわしく説明します。
5
年金請求書を提出する
年金請求書に診断書・申立書などを添えて提出します。日本年金機構のホームページには、年金請求書の記入方法を確認できる動画も掲載されています。マイナポータルからの電子申請にも対応しています。
6
結果を待つ(3か月程度)
年金請求書の提出から3か月程度で「年金証書」「年金決定通知書」が自宅に届きます。詳細な障害の状態を確認する必要がある場合などは、通常より時間がかかることがあります。受け取れない場合は不支給決定通知書が送られてきます。年金証書が届いてから約1〜2か月後に振り込みが始まり、以後は偶数月に2か月分ずつ振り込まれます。

用意する書類

必要書類はご自分の状況(初診日がいつか、加算の対象者がいるか、さかのぼって請求するか)によって 変わります。行く前に電話で確認しておくと、書類の不足で二度足を運ぶことを避けられます。 ねんきんダイヤル(0570-05-1165)でも一般的な問い合わせができますし、年金事務所での対面相談は 予約制の「予約相談」が利用できます。

病歴・就労状況等申立書 — ここだけは自分で書きます

診断書は主治医が書きます。しかし病歴・就労状況等申立書は、患者さんご本人かご家族が書く書類です。 発病から現在までの経過を、期間を区切って、自分の言葉で書いていきます。

パーキンソン病でこの書類が効くのは、診断書の欄には収まらないことを書けるからです。

  • 薬が効いている時間と切れている時間で、できることがどれだけ違うか
  • 転倒が月に何回あって、そのうち何回受診したか
  • 通院にだれの付き添いが必要で、行き帰りに何時間かかるか
  • 仕事をどう変えたか(配置転換、時短、退職)、その理由
  • 家の中で人の手を借りている場面(着替え、入浴、トイレ、寝返り)
この書類を書くときに一番困るのは、「いつから何ができなくなったか」を思い出せないことです。日々の記録があると、この作業が別物になります。困った場面を日付と時間つきでメモしておくこと——これは診察でも、認定調査でも、この申立書でも、そのまま根拠になります。ご家族が見ている場面は、ご本人が言い落としがちな部分を埋めてくれます。

書き方に迷ったら、様式に記入例が用意されていますし、年金事務所でも相談できます。

自分でやるか、社会保険労務士に頼むか

年金事務所・街角の年金相談センターの相談は無料です。まずここに行ってください。

そのうえで、書類の作成や提出を専門家に依頼するという選択肢もあります。社会保険労務士法は、 社会保険労務士の業務として、労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成と、 その提出に関する手続を代わってすること(提出代行)などを定めています。障害年金の請求は その範囲に入ります。

依頼するかどうかはご自分の状況次第です。判断の材料になるのはこのあたりです。

こんなとき考え方
初診日がはっきりしていて、記録も残っているまず年金事務所で相談して、自分で進められることが多いです
初診日の医療機関が廃院、カルテが破棄されている初診日の証明の組み立てが必要になります。相談する価値があります
何年も前にさかのぼって請求したい当時の診断書と現在の診断書の2枚が要り、資料集めが複雑になります
一度不支給になった/等級に納得がいかない審査請求という手続きがあります。年金事務所で説明を受けたうえで検討してください

⚠️ 費用や引き受ける範囲は事務所ごとに違います。今回確認した公式資料の範囲を超えるため、 ここでは相場や選び方については書きません。依頼する場合は、着手金・成功報酬・どこまでやってくれるかを 契約前に書面で確認してください。

受け取り始めたあと

状態が変わったら額改定請求ができます

65歳になるまでに障害の状態が悪くなった場合は、年金額を改定する請求ができます。 (請求書は、65歳の誕生日の前々日までの間に提出する必要があります。) なお、過去に一度でも障害基礎年金の受給権を有したことのある方(障害等級2級以上に該当した方)は、 65歳を過ぎても年金額を改定する請求ができます。

3級の障害厚生年金を受け取っている方が2級・1級に変わることもあります。進行したら、次の更新を 待たずに請求できるということです。額の改定は本人の請求のほか、定期的に提出する診断書によっても 行われます。

障害状態確認届(診断書)を忘れないでください

障害の状態に応じて、提出が必要となる年に「障害状態確認届(診断書)」が送られてきます。

項目内容
いつ届くか誕生月の3か月前の月末
いつまでに出すか誕生月の末日まで
何をするか「診断書」欄を医師等に記載してもらって提出

出し忘れると年金が止まります。届いたらすぐ主治医に予約を入れてください。

他の年金との調整

公的年金は一人1年金が原則です。65歳前に支給事由の異なる2つ以上の年金を受けられるときは、 いずれか1つを選ぶことになります。ただし65歳以後は、障害基礎年金とご自身の老齢厚生年金、または 障害基礎年金と遺族厚生年金をあわせて受け取れる組み合わせがあります。どれが有利かは 年金事務所で計算してもらってください。

同じ病気やけがで傷病手当金健康保険から支給される、病気やけがで働けない間の所得保障です。障害厚生年金をさかのぼって受給できることになった場合は、受給済みの傷病手当金が調整されます。詳しく見るを 受給していた期間について、あとから障害厚生年金をさかのぼって受給できることになった場合は、 受給済みの傷病手当金が調整されます。障害基礎年金だけを受ける場合はこの調整はありません。 → 傷病手当金との調整をくわしく

他の制度との関係

パーキンソン病では、次の制度が並行して動きます。目的が違う別々の制度なので、どれかを選ぶ ものではありません。

制度何が軽くなるか判定するのは窓口
障害年金収入(現金給付)日本年金機構年金事務所/市区町村
難病医療費助成制度医療費都道府県・指定都市保健所等
介護保険介護サービスの利用料市区町村(介護認定審査会)市区町村
身体障害者手帳税・料金・福祉サービスの入口都道府県知事等市区町村の障害福祉窓口

障害年金は「お金が入ってくる」制度で、ほかの3つは「出ていくお金が減る」制度だと考えると 整理しやすくなります。だから重複しません。難病医療費助成の受給者証を持っていても障害年金は請求 できますし、介護保険を使っていても関係ありません。

働き続けながら受け取ることもできます。2026年4月から治療と仕事の両立支援が事業主の努力義務に なったことは治療と仕事の両立支援の記事に まとめています。障害厚生年金3級の説明が「日常生活にはほとんど支障はないが、労働については制限が ある方」となっていることからも分かるとおり、働いていることが直ちに不支給の理由になるわけでは ありません

こんなときは

状況どうするか
障害者手帳を持っていないので対象外だと思っています別の制度です。障害年金ガイドにも「身体障害者手帳の等級とは異なります」と明記されています。手帳がなくても請求できます
最初に受診したのがいつか思い出せません診察券、お薬手帳、健康保険の医療費のお知らせ、家計簿、手帳のメモが手がかりになります。年金事務所に相談しながら組み立ててください
初診の病院がなくなっていました「初診日に関する第三者からの申立書」など別の方法があります。合理的に推定できる書類で認められる場合があります
若いころに保険料の未納があります初診日が令和18年3月末までなら、直近1年間に未納がなければ特例で要件を満たします。まず納付記録を確認してください
保険料を免除してもらっていた時期があります免除期間は納付要件を満たす側に数えられます。未納とは違います
障害認定日には軽かったので請求しませんでした事後重症で請求できます。ただし請求日の翌月分からで、さかのぼりはありません。65歳の誕生日の前々日までです
5年以上前から今の状態です障害認定日にさかのぼる請求ができますが、5年以上前の分は時効です。診断書は2枚必要になります
薬が効いている時間に診察があり、実際より軽く見られています障害年金の認定基準に服薬状態での評価に関する記載は確認できませんでした。困っている時間帯の具体的な場面を日付・時刻つきで記録し、主治医と病歴・就労状況等申立書に必ず残してください
3級で受給中ですが進行しました額改定請求ができます。65歳の誕生日の前々日までです(過去に2級以上に該当した方は65歳以後も可)
働いているので無理だと思っています障害厚生年金3級は「日常生活にはほとんど支障はないが、労働については制限がある方」と説明されています。まず相談してください
障害状態確認届が届きました誕生月の末日までに、診断書欄を医師に書いてもらって提出してください。出さないと年金が止まります
不支給になりました審査請求の手続きがあります。年金事務所で理由の説明を受けたうえで検討してください

患者さんとご家族へ

障害年金でいちばん多い損は、請求しないことです。そしてその理由の多くは、 「手帳がないから」「働いているから」「もう何年も経ったから」という、事実と違う思い込みです。 手帳は別の制度、働いていても3級はあり、何年経っていても事後重症という入り口があります。

パーキンソン病に固有の落とし穴もあります。初診日が古いことと、症状に波があることです。 初診日は制度のすべての出発点なのに、パーキンソン病では確定診断の何年も前にあることが多く、 そのころの記録ほど失われやすい。波のほうは、調子のよい時間に診察が当たると書類に残りません。

だから、いますぐできることが二つあります。ひとつは初診日を思い出して書き留めること。 もうひとつは困っている場面を日付と時刻つきで記録しはじめることです。どちらもお金はかかりませんが、 数年後に効いてきます。ご家族が横で見ている事実は、ご本人が言い落としがちな部分を埋めてくれます。

まだ何も始めていない段階なら、最初の一歩は年金事務所に電話して予約相談を取ることです。 納付要件を満たしているか、どの年金になるか、いま請求できるのか——そこでまとめて聞けます。相談は無料です。

このページは行政の決定や医学的な判断に代わるものではありません。記載した要件・等級・金額は 2026年8月時点で日本年金機構および厚生労働省の公式資料で確認したものです。年金額は毎年度改定され、 制度も見直されます。ご自分の請求については、お近くの年金事務所・街角の年金相談センターと 主治医にご確認ください。