財産の管理や契約の手続きを、ご自分で決めることが難しくなったときに支える制度として 成年後見制度があります。この制度には性格の異なる2つの種類があり、どちらを使える かは、検討を始めるタイミングで決まってしまうという見落としやすい特徴があります。以下は 2026年8月時点で法務省・厚生労働省の公式ページを実際に確認して整理したものです。

2つの制度 — 「誰が後見人を選ぶか」がまったく違います

区分後見人を選ぶ人開始のタイミング
法定後見家庭裁判所が選任判断能力がすでに低下してから
任意後見ご本人が契約であらかじめ指定判断能力が十分あるうちに契約し、低下してから効力が生じる

法定後見は、判断能力が低下した後に家族などが家庭裁判所に申し立てる制度で、後見人が誰に なるかはご本人や家族が選べません(弁護士や司法書士などの専門職が選ばれることもあります)。 一方、任意後見はご本人が信頼できる人をあらかじめ自分で選び、公正証書で契約しておく 制度です。

落とし穴 — 任意後見は「判断能力があるうち」にしか契約できません

ここが一番の見落としポイントです。任意後見は契約なので、契約を結ぶご本人に十分な判断能力があることが前提です。判断能力が低下してから任意後見契約を結ぶことはできません。「まだ大丈夫だから」と先延ばしにしているうちに判断能力が低下してしまうと、任意後見という選択肢はなくなり、後見人を自分で選べない法定後見だけが残ることになります。

パーキンソン病は運動症状が中心の病気ですが、進行に伴って認知機能の変化が見られることも あります。今は判断能力に問題がなくても、将来に備えて検討を始めるなら早いほうがよい制度 です。実際に判断能力が低下してから動くのではなく、元気なうちに情報を集めておくことが 選択肢を残すことにつながります。

家族が並んで寄り添う後ろ姿

法定後見の3つの類型

法定後見は、判断能力の程度に応じて3つの類型に分かれます。

類型対象になる方
補助重要な手続き・契約をひとりで決めることに心配がある方
保佐重要な手続き・契約をひとりで決めることが心配な方
後見多くの手続き・契約をひとりで決めることがむずかしい方

どの類型に該当するかは、医師の診断書などをもとに家庭裁判所が判断します。

費用の目安

制度主な費用
法定後見の申立て収入印紙・登記手数料など1万5千円から2万円程度。判断能力の鑑定が必要な場合はさらに10万円から20万円程度
任意後見契約(公正証書作成)基本手数料11,000円+登記嘱託手数料1,400円+登記所印紙代2,600円など、合計1万5千円程度
任意後見監督人の報酬(発効後)家庭裁判所が決定。目安は月1万円から3万円程度

任意後見は契約するだけでなく、実際に効力を生じさせるには家庭裁判所に任意後見監督人の 選任を申し立てる必要があります。判断能力が低下したときに、あらためてこの申立てが必要に なることを覚えておいてください。

こんなときは

状況どうするか
今は判断能力に問題がないが、将来が心配任意後見を検討できる時期です。信頼できる人と公証役場で契約しておけます
すでに判断能力の低下が進んでいる任意後見契約は結べません。家族などが家庭裁判所に法定後見の申立てを行います
後見人を家族以外の専門職に任せたくない任意後見なら、ご本人が信頼する家族や知人を後見人に指定できます。法定後見では家庭裁判所の判断になります
費用がどれくらいかかるか分からないまずは家庭裁判所や公証役場、お住まいの地域包括支援センター市区町村が設置する高齢者の暮らし全般の相談窓口です。介護保険の要支援1・2の方のケアプランもここが担当します。詳しく見るに相談してみてください

患者さんとご家族へ

この制度で一番もったいないのは、「まだ元気だから」と先延ばしにして、任意後見という 選択肢そのものを失ってしまうことです。今すぐ契約する必要はなくても、判断能力に問題がない うちに、後見人を誰に頼みたいか、どこまでお願いしたいかを家族で話し合っておくだけでも、 将来の選択肢を残すことになります。

このページは法律相談や行政の決定に代わるものではありません。記載した制度・費用は2026年8月 時点で法務省・厚生労働省の公式ページで確認したものです。実際の手続きについては、お住まいの 地域を管轄する家庭裁判所、公証役場、または地域包括支援センターにご確認ください。