身体障害者手帳があると、鉄道・バス・タクシーの運賃が割引になることがあります。ただし、これは 「障害者割引」というひとつの制度ではありません。交通手段ごとに、まったく別の仕組みが 動いています。ある交通手段で当たり前だったことが、別の交通手段ではまったく通用しない ということが起こります。以下は2026年8月時点で自治体・事業者の公式ページを実際に 確認して整理したものです。

タクシー — いちばん単純です

タクシーは3つの中で一番シンプルです。目黒区の案内によれば、条件はこうです。

項目内容
対象者身体障害者手帳(または療育手帳)の交付を受けている方 — 等級の条件なし
割引率走行メーター表示額から1割引
事前手続き不要
利用方法乗車時に手帳を提示し、降車時に割引後の運賃を支払う

事前登録も、手帳の等級による区別もありません。手帳を持って乗って、見せるだけです。 ただし手帳を提示しなければ割引は適用されないので、乗るときに忘れずに見せる必要があります。

路上に停まっているタクシーを上から見た様子

JR — 手帳の「旅客運賃減額」欄を見てください

JRの障害者割引は、手帳の「旅客運賃減額」欄に第1種と第2種のどちらが記載されているかで 扱いが大きく変わります。

第1種第2種
本人が単独で片道100kmを超えて乗車普通乗車券5割引普通乗車券5割引
介護者と同乗する場合距離の制限なく、本人・介護者とも5割引(定期券も対象)12歳未満の介護者にしか5割引が適用されない
ここが見落としやすい点です。本人が単独で乗る分には第1種・第2種の差はほとんど出ません(どちらも片道100km超で5割引)。差が出るのは介護者と一緒に乗るときです。第2種の手帳で、大人の家族に付き添ってもらって乗る場合、介護者の分は割引になりません。付き添いが必要になってきた段階で、自分の手帳がどちらの種別か確認しておく価値があります。

「第1種」「第2種」は身体障害者手帳の等級や障害の種類によって決まり、手帳の記載を見るか、 交付元の窓口で確認するのが確実です。有料道路の障害者割引の 「介護運転」の対象条件も、この第1種・第2種の区分を使っています。

バス — 事業者ごとに違います。全国共通の数字はありません

バスは鉄道やタクシーのような全国共通の仕組みがありません。事業者(会社)ごとに割引率・ 利用方法が違います。

高槻市営バスの例では、手帳に「第1種」の記載がある場合は本人無料・介護者5割引、 「第2種」相当の場合は本人無料という独自の方式で、しかも利用にはICカードのタッチが 必要でした。一方、一般の路線バス事業者では「手帳提示で運賃割引」とだけ案内されていて、 具体的な割引率は事業者ごとの案内を見るしかありませんでした。

バスは「だいたい1割引が多い」という目安すら、事業者によって外れることがあります(上の高槻市営バスの例のように「本人無料」というケースもあります)。よく使う路線がある場合は、その事業者のホームページか窓口で個別に確認してください。

3つを並べて比べると

1
タクシーに乗るとき
手帳を持って乗るだけ。等級は関係なく、メーター表示額の1割引。事前の手続きは不要です。
2
JRに乗るとき
手帳の「旅客運賃減額」欄が第1種か第2種かを確認してください。単独乗車なら差はほぼありませんが、介護者と一緒に乗るなら第1種かどうかで割引の範囲が大きく変わります。
3
バスに乗るとき
全国共通のルールはありません。よく使う路線の事業者に、割引率と利用方法(手帳提示かICカードか)を個別に確認してください。

こんなときは

状況どうするか
タクシーに乗るとき、手帳の等級を気にする必要がありますかありません。手帳があれば等級にかかわらず1割引です。事前手続きも不要です
JRで家族に付き添ってもらって乗るのに、割引にならないと言われた手帳の「旅客運賃減額」欄が第2種の場合、大人の介護者には同乗割引が適用されません。第1種かどうかを窓口で確認してください
よく使うバス路線の割引率が分からない全国共通の数字はありません。その路線を運行する事業者のホームページか窓口に直接確認してください
手帳の「旅客運賃減額」欄に何も書かれていない、または意味が分からない手帳を交付した市区町村の障害福祉担当窓口に確認してください

患者さんとご家族へ

3つの交通手段の割引を「ひとつの障害者割引」として覚えてしまうと、思わぬところで つまずきます。とくにJRは、ご本人おひとりで動くうちは気づかなかった条件が、ご家族が 付き添うようになった段階で急に効いてくることがあります。付き添いが必要になってきたら、 一度手帳の記載を確認しておくと安心です。

このページは法律相談や行政の決定に代わるものではありません。記載した割引率・条件は2026年8月 時点で自治体・事業者の公式ページで確認したものです。制度・運賃は改定されますので、実際に ご利用の際は各事業者・お住まいの市区町村の窓口にご確認ください。