高速道路をはじめとする有料道路には、身体障害者手帳をお持ちの方向けの割引制度があります。 ETC通常料金の5割引と大きく、通院や外出で車を使う機会が多い方には見過ごせない制度です。

ただしこの制度は、誰がハンドルを握るかで対象条件が変わります。パーキンソン病は進行性の 病気で、診断された当初はご本人が運転していても、症状が進んでご家族が運転を引き受けるように なる場面が出てきます。その切り替わりの瞬間に、割引の対象条件も変わってしまうことがあります。 以下は2026年8月時点で国土交通省・NEXCO各社の公式ページを実際に確認して整理したものです。

本人運転と介護運転 — 対象になる条件が違います

有料道路事業者(NEXCO東日本)の案内では、対象者は次のように分かれています。

運転する人対象になる条件
ご本人身体障害者手帳の交付を受けている方
ご家族等(介護運転)身体障害者手帳又は療育手帳の交付を受けている方のうち、重度の障がいをお持ちの方
ここが一番の落とし穴です。ご本人が運転する間は手帳さえあれば対象でしたが、症状が進んでご家族が運転するようになった瞬間、「重度」という追加の条件がかかります。運転を交代するタイミングで、自分(介護運転する側)が対象のままかどうかを一度確認してください。

「重度」の基準は、NEXCO東日本の案内によれば旅客鉄道株式会社(JR)の旅客運賃減額と同じ区分 です。手帳の「旅客運賃減額」欄に「第1種」と記載されていれば重度側、「第2種」は対象外に なります。第1種にあたるのは、身体障害者障害程度等級表の特定の等級に該当する場合や、両方の 上下肢など障害の範囲が広い場合などで、実際にどちらの種別かは手帳の記載を見るか、交付元の 窓口で確認するのが確実です。

割引率と登録できる自動車

項目内容
割引率ETC通常料金の5割引(端数は10円単位で切り上げ)
登録できる自動車障がいのある方お1人につき1台まで事前登録可能
未登録でも使えるか登録しなくても、要件を満たせば料金所での手帳提示により利用できます

落とし穴 — ETC専用レーン・スマートICでは使えません

NEXCO西日本の案内は、本割引が適用されない場所としてETC専用レーンとスマートインター チェンジを明記しています。

近年、料金所は係員のいる一般・混在レーンから、無人のETC専用レーンへの切り替えが進んでいます。 障害者割引は、ETC利用の事前登録が完了して利用開始日の通知が届くまでは、料金所の 一般・混在レーンで手帳を提示して手動で確認してもらう必要があります。ETC専用レーンしかない 料金所では、その方法自体が使えません。

ETC割引の登録手続き中や、そもそも料金所がETC専用化されている区間を使う予定がある場合は、事前にルート上の料金所がどちらのレーン構成かを確認しておくと、現地で困らずに済みます。

申請の流れ

運転席でハンドルを両手で握る様子
1
福祉担当窓口で割引の申請をする
身体障害者手帳を管理する市区町村の障害福祉担当窓口で、有料道路障害者割引の申請をします。審査を経て、手帳の「割引対象である」旨の欄に記載してもらいます。
2
ETCを使う場合は、別途ETC利用の申請をする
同じ窓口で「ETC利用申請証明書」の交付を受け、指定の封筒で有料道路事業者の登録窓口あてに郵送します。窓口ではETCカード・自動車検査証・運転免許証などの提示が必要です。
3
利用開始日の通知が届くまでは、手帳提示で利用する
登録が完了すると、ETC無線通行での割引が使える日が書面で通知されます。それまでは料金所の一般・混在レーンで手帳を提示して利用します。
4
通知後は、登録したETCカード・車載器で自動的に割引される
登録されたETCカードを登録された車載器に挿入してETCレーンを通行すると、自動的に5割引が適用されます。別のカードや車載器を使うと割引されません。
マイナンバーカードとマイナポータルアプリがあれば、事前に自動車を登録してETC利用する分についてはオンライン申請にも対応しています。窓口に行く時間が取りにくい方は、事前にマイナポータルの利用者登録を済ませておくと手続きが早く進みます。

必要書類(新規申請の例)

必要書類は自治体や有料道路事業者によって案内が異なることがあります。窓口に行く前に電話で 確認しておくと、書類不足で二度手間になるのを避けられます。

こんなときは

状況どうするか
今まで自分で運転していたが、家族に運転してもらうことが増えてきた介護運転は「重度」の方に限られます。手帳の「旅客運賃減額」欄が第1種か確認し、対象外なら窓口に相談してください
よく通る料金所がETC専用レーンしかない割引登録が済むまで、その料金所では手帳提示による割引が使えない可能性があります。別ルートや近くの一般レーンがある料金所を確認してください
ETCの登録手続き中で、まだ通知が届いていないその間は料金所の一般・混在レーンで手帳を提示して利用してください。ETC専用レーンでは使えません
車を複数台持っているが、全部登録したい障がいのある方お1人につき登録できる自動車は1台までです
手帳の「旅客運賃減額」欄に第1種・第2種の記載がない、または分からない手帳を交付した窓口(市区町村の障害福祉担当)に確認してください

患者さんとご家族へ

この制度で一番見落としやすいのは、運転する人が変わると条件も変わるという点です。 パーキンソン病はゆっくり進行する病気なので、「今まで通り」のつもりで家族が運転を代わっても、 割引の対象からいつの間にか外れていた、ということが起こり得ます。運転を交代するタイミングは、 この制度を確認し直す良い機会でもあります。

このページは法律相談や行政の決定に代わるものではありません。記載した割引率・条件は2026年8月 時点で国土交通省・NEXCO各社の公式ページで確認したものです。制度は改定されますので、ご自分の 申請については、お住まいの市区町村の窓口にご確認ください。