親御さんやご家族が亡くなり相続が発生したとき、相続人の中に障害のある方がいれば、相続税の 障害者控除が使えることがあります。身体障害者手帳をお持ちの方がご家族の相続人になる 場面で見落とされやすい制度です。以下は2026年8月時点で国税庁の公式ページを実際に 確認して整理したものです。
対象になる3つの要件
国税庁の案内では、次の3つをすべて満たす必要があります。
- 相続や遺贈で財産を取得したときに日本国内に住所があること
- 財産取得時に障害者であること
- 法定相続人であること(相続の放棄があった場合は、その放棄がなかったものとした 場合の相続人)
控除額 — 1級・2級と3級以下で2倍違います
控除額は、85歳になるまでの年数に応じて計算します(1年未満の端数は切り上げて1年とします)。
| 区分 | 控除額の計算 |
|---|---|
| 一般障害者 | (85歳 − 相続開始時の年齢)× 10万円 |
| 特別障害者 | (85歳 − 相続開始時の年齢)× 20万円 |
身体障害者手帳の場合、1級・2級は特別障害者、3級から6級は一般障害者です (精神障害者保健福祉手帳は1級が特別障害者、療育手帳は知的障害者更生相談所等の判定で 重度とされた場合が特別障害者です)。
たとえば60歳で特別障害者(身体障害者手帳1級・2級)の方が相続人になった場合、 20万円 ×(85歳 − 60歳)= 500万円が相続税額から差し引かれます。同じ60歳でも 一般障害者(3級から6級)なら10万円 ×(85歳 − 60歳)= 250万円と、金額がちょうど 2倍違います。

使いきれない分は、家族に引き継げます
控除額が、その障害のある相続人本人の相続税額より大きいことがあります。国税庁の案内では、 この引ききれない部分の金額は、その障害者の扶養義務者の相続税額から差し引くことが できるとされています。
扶養義務者にあたるのは、配偶者、直系血族、兄弟姉妹、そのほか3親等内の特定の親族です。
相続とは別に、保護者が生きているうちに備える方法として障害者扶養共済制度(しょうがい 共済)もあります。保護者が65歳を超えると新規に加入できなくなるという年齢の壁があるため、 こちらも別記事にまとめています。 → 障害者扶養共済制度(しょうがい共済)をくわしく
こんなときは
| 状況 | どうするか |
|---|---|
| 遺言で財産を受け取ったが、法定相続人ではない | 障害者控除の対象になりません。法定相続人にあたるかは、続柄と相続放棄の有無から確認してください |
| 身体障害者手帳の等級で控除額が変わるのか知りたい | 1級・2級は特別障害者(20万円×年数)、3級から6級は一般障害者(10万円×年数)です |
| 障害のある相続人の相続税額が控除額より少ない | 引ききれない分は、配偶者・直系血族・兄弟姉妹などの扶養義務者の相続税額から差し引けます |
| 相続開始時の年齢の数え方が分からない | 相続開始時点の満年齢で数えます。85歳までの期間に1年未満の端数が出た場合は1年に切り上げます |
患者さんとご家族へ
この控除で一番もったいないのは、使いきれない分をそのまま切り捨ててしまうことです。 障害のある方ご本人の相続税額が少なくても、扶養義務者であるご家族の相続税から差し引ける 仕組みがあることを、相続税の申告を担当する税理士や税務署に必ず伝えてください。
このページは法律相談や行政の決定に代わるものではありません。記載した要件・金額は2026年8月 時点で国税庁の公式ページで確認したものです。相続税の申告については、お住まいの地域を 管轄する税務署または税理士にご確認ください。


