パーキンソン病が認知の力に影響すると聞くと「記憶力が悪くなること」を思い浮かべやすいのですが、 実際には注意を保ち、いくつかの物事を順番に片づけていく力(実行機能)に、より大きく 影響する傾向があります。純粋な記憶力の低下というよりも、「集中がうまく続かず、いくつものことを 同時に処理するのが難しくなった」というかたちで感じられることが多いです。
しまえないのではなく、取り出しにくいのです
パーキンソン病で現れる記憶の問題は、認知症(アルツハイマー病)とは性質が違います。情報そのものが しまえないのではなく、しまった情報を必要なときに取り出すこと(想起)が難しい場合が 多いのです。ですから「あれ、何だったっけ、覚えてない?」のようにぼんやり聞くと答えられない のに、「魚だった? 野菜だった?」のようにヒントや選択肢を出すと、ずっと簡単に思い出せることが よくあります。ご家族がこの聞き方をしてくださるだけで、実際の会話がずっと楽になることがあります。
軽度認知障害とは
軽度認知障害(MCI)同じ年代に比べて認知の力が少し遅くなっているものの、日常生活を自分でこなすのには支障がない状態です。パーキンソン病の患者さんの20〜50%が経験すると報告されています。詳しく見るとは、同じ年代に比べて認知の力が少し遅くなっているものの、日常生活を自分でこなすのにはまだ支障がない状態のことです。パーキンソン病の患者さんの20〜50%が経験すると報告されています。すべての軽度認知障害が認知症へ進むわけではなく、早く気づいて管理すれば、低下の速さを遅らせたり、一部は戻したりできることが知られています。
役に立つこと
- 睡眠を十分にとってください。 一日に少なくとも6時間、できれば8時間ほど眠る機会をもつことが、 注意力・実行機能に役立ちます。
- 一度に一つのことに集中してみてください。 いくつものことを同時に処理しようとせず、 邪魔になるものを減らして一つずつ順番に片づけるほうが効率的です。
- 筋力の運動を続けてみてください。 レジスタンス運動が、バランスや歩行だけでなく実行機能や 注意力の改善にも役立つことが研究されています。
- 脳を使い続けてください。 読書、パズル、記憶のゲーム、新しいことを学ぶ活動が役に立ちます。
- カレンダー・アラーム・メモのような外の道具を積極的に使ってください。 頭の中だけで 覚えておこうと頑張るよりも、目に見える道具にまかせるほうが実際の助けになります。

運転のように安全にかかわることは、とくに慎重に
注意力や判断の速さが以前と同じではないと感じられるなら、運転のようにその場の反応が必要な 活動は、とくに慎重に考える必要があります。ご本人は大丈夫だと感じていても実際の反応の速さは 変わっているかもしれませんので、ご家族の意見を聞いてみたり、必要なら運転の能力を評価して もらうことも一つの方法です。
今できること
認知の変化を感じたら、自分だけで判断せずに主治医に伝えるとよいでしょう。必要な場合には認知 リハビリテーションやリバスチグミンのような薬が役立つことがありますし、何よりも早い時期から 管理を始めることが大切です。
この記事は、医学的な診断や治療の代わりになるものではありません。記憶力や集中力の変化が 心配なときは、主治医にご相談ください。


